2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00304
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 俊哉 Nagoya University, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 分子遺伝学 / 花粉 |
Research Abstract |
昨年度までの研究によって、花粉の表層構造に異常を示すシロイヌナズナの突然変異体を多数獲得し、その中で本年度は表層構造が薄くなるkns4突然変異体の解析を進めた。まず変異の原因を探ったところ、kns4突然変異体ではタンパク質糖鎖の生合成に関わる糖転移酵素と推定されるタンパク質(KNS4)が欠損していることがわかった。シロイヌナズナにはこのKNS4と同じ酵素活性を持つと考えられるタンパク質が20個存在するが、その中でタンパク質欠損による突然変異体が確認されたのはKNS4が初めてである。KNS4は花粉形成の場である葯のみで作られ、さらに花粉表層構造の形成過程の最も早い時期に一過的に発現することが示された。一方で電子顕微鏡観察により、kns4突然変異体では花粉表層構造の形成初期から異常が始まることがわかった。これはKNS4の発現時期ともよく一致し、KNS4はまだほとんど知見が得られていない初期の花粉表層構造形成過程に関わる新たな因子であることが明らかとなった。また遺伝学的解析によって、KNS4は従来考えられていたタンパク質糖鎖の生合成とは異なる機能を持つことが示された。今後は、その酵素活性を明らかにするための実験を進める予定である。kns4突然変異体の解析と平行して、花粉表層構造が異常になる新奇突然変異体の探索を昨年度より継続して行った。その結果、本年度は新たに15個の突然変異体を得た。その中で8個は以前に得たもののいずれかと同様の表現型を示したが、残りの7個は今までに報告例のない表現型を示し、それぞれ3つのタイプに分類された。突然変異体の出現率は予想以上に高く、花粉表層構造の形成には多くの遺伝子が関与していることが推定された。今後はこれら突然変異体の変異を調べ、花粉表層構造の形成に関わる新たな遺伝子を明らかにしたい。
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Research Products
(4 results)