2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00304
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 俊哉 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 分子遺伝学 / 花粉 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、花粉壁エキシン層が薄くなるシロイヌナズナkaonashi4 (kns4)突然変異体の解析を行った。KNS4タンパク質の機能を明らかにするため、今年度はkns4の表現型解析を中心に行った。kns4の葯の樹脂包埋切片をトルイジンブルーで染色し、花粉の形成過程を野生型と比較観察した。その結果、野生型の花粉母細胞では始原細胞壁と細胞膜の間にトルイジンブルーで染色されない空間が形成されていたのに対して、kns4ではその解離が見られなかった。透過型電子顕微鏡観察によって、その空間には電子密度の低い細胞外マトリックスが存在し、kns4ではその量が減少していることがわかった。KNS4タンパク質はアラビノガラクタンタンパク質(AGP)のガラクタン鎖の生合成に関与する酵素であると予想されたため、AGPと特異的に反応するヤリブ試薬を用いて、kns4変異体でAGPの量が変化しているか調べた。パラフィン包埋した葯の切片をヤリブ試薬で染色した結果、野生型とkns4ともに減数分裂直前の花粉母細胞と四分子の周辺で特異的に反応が見られたが、kns4では染色が弱くなっていた。従ってkns4ではAGPの量が減少していることが示唆された。組織学的解析の結果と合わせると、花粉母細胞の周囲のマトリックスにはAGPが含まれ、KNS4はその生合成に必要であるという仮説が考えられた。現在までにAGPの生合成に関わる酵素は同定されておらず、KNS4はその初めての報告例となることが期待された。kns4の解析と平行して、エキシンが異常になる新奇突然変異体のスクリーニングも行った。変異原処理したシロイヌナズナのM2世代およそ3500個体の花粉を走査型電子顕微鏡で観察した結果、エキシン構造に何らかの異常を示す変異体を新たに12個単離することに成功した。
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Research Products
(2 results)