2008 Fiscal Year Annual Research Report
各種担子菌に共通する子実体形成制御因子類の同定とそれらの機能
Project/Area Number |
08J00332
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中沢 威人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キノコ / 子実体 / 転写調節 / 形態 / 転写因子 |
Research Abstract |
採用1年目である昨年度は、特別研究員として採用された研究課題(各種担子菌に共通する子実体形成制御因子類の同定とそれらの機能)を行う上での前提となる事項に関しての調査・検討を行った。 シイタケで子実体形成過程初期において著しく転写発現が活発化することが報告されている遺伝子を約10種類選び出し、それらがヒトヨタケにおいてもシイタケと同様の転写発現パターンを示すかを調べた。その結果、ヒトヨタケにおいても大部分の遺伝子の転写発現は、劇的な子実体形態形成がおこる原基形成時または子実体成熟過程の初期で顕著に活発化することが認められた。さらに、子実体形成に深く関与する環境ストレスである光(青色波長)によって、これら遺伝子の転写発現が誘導されることがシイタケとヒトヨタケで同様に確認された。以上の結果からは、少なくともシイタケとヒトヨタケで共通して子実体形成に関わる転写発現調節機構が存在することが示唆された。 次に、転写発現を調べた遺伝子の中で、シイタケにおいてLe.CDC5の標的遺伝子として分離されていたctg1遺伝子がシイタケ・ヒトヨタケにおいて共通して子実体の形態形成(柄の伸張)に関わることがヒトヨタケにおける分子遺伝学的実験から示唆された。以上のことからは、共通して子実体の細胞増殖・形態形成に関わる遺伝子の存在することが示唆された。 以上の結果を踏まえると、担子菌キノコに共通する子実体形成の分子メカニズムが存在する可能性が強く示され、研究課題の方針で引き続き研究を進めて行くことの有効性が示された。
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Research Products
(5 results)