2010 Fiscal Year Annual Research Report
各種担子菌に共通する子実体形成制御因子類の同定とそれらの機能
Project/Area Number |
08J00332
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中沢 威人 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | キノコ / 子実体 / 担子菌 / ヒトヨタケ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、変異体の詳細な表現型解析を行った。それら変異体は(1)菌糸塊形成すら観察できないもの(2)菌糸塊形成途中で形態形成が停止するもの(3)形態形成誘導プロセスが異常であるもの、以上の3種類に分類できた。特に(1)に分類された変異体の多くは、クランプ形成・核移動や無性胞子形成など、キノコ発生(有性生殖)上流に位置する交配型決定因子シグナルが関わる現象に影響が出ていることが観察された。また大多数の変異体において、キノコ発生と関連があると考えられている培地の褐色化に影響が出ていることが観察された。個別の原因遺伝子をみてみると、他の生物種と比較してキノコでのみ遺伝子構造が特殊であったり、その変異体の表現型などが酵母や他の糸状菌における過去の知見と一致しないものが多い。このことは、これら遺伝子が担子菌キノコ(真正担子菌)特有の生命現象に関わるようになったと同時に、その他の機能・役割も大きく変化していることを示唆する。今後は、これらの変異体を利用したキノコ発生誘導時における比較プロテオーム・ジェノミクス解析が計画されている。同時に、昨年度世界に先駆けて実現させたヒトヨタケにおける相同組み換え法をさらにブラッシュアップさせることを試みた。結果、Ku70ホモログをコードする遺伝子の破壊株取得に成功した。この株を用いれば、例外を除き最低60%の頻度で相同組み換え株の取得が可能となった。結論として、この研究課題より得られた知見を食用キノコに当てはめることで、遺伝子工学によるキノコの研究開発を実現するための基盤が整ったと考えられる。
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Research Products
(10 results)