2008 Fiscal Year Annual Research Report
単細胞動物ミドリゾウリムシと緑藻クロレラとの細胞内共生成立機構の研究
Project/Area Number |
08J00334
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
児玉 有紀 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミドリゾウリムシ / クロレラ / リソソーム / 食胞 / 二次共生 / 透過型電子顕微鏡 / 細胞内共生 / 感染 |
Research Abstract |
これまでにミドリゾウリムシでは、シクロヘキシミドは宿主のタンパク質合成を阻害しないが、クロレラのタンパク質合成は阻害することが明らかにされている。我々は、クロレラのタンパク質合成をシクロヘキシミドで阻害すると、24時間以内に細胞内の全ての共生クロレラを包むPerialgal vacuole(PV)膜が同調して膨潤し、その後PV膜にリソソームが融合して、共生クロレラの消化が誘導されることを明らかにした。さらに、この現象は恒明条件下(LL)のみで起こり、恒暗条件下(DD)や、光合成阻害剤のDCMU存在下では起きないことが分かった(Kodama and Fujishima,2008)。今年度、筑波大学井上研究室で透過型電子顕微鏡観察、試料作成、超薄切片作成の技術を獲得し、シクロヘキシミド処理によって誘導される上記の現象を透過型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果、シクロヘキシミドで処理した直後、PV膜の膨潤が誘導される以前にクロレラの内部構造はすでに壊れ、このクロレラはシクロヘキシミドを完全に除去した後でも分裂出来ないことが分かった。リソソーム融合やPV膜膨潤はクロレラの内部構造崩壊の後に起きる反応であることから、PV膜の機能維持にクロレラが関与していることが明らかになった。DD条件では、一連の変化(内部構造の崩壊、PV膜の膨潤、リソソームの融合)は観察されなかった。 細胞内共生しているクロレラは宿主の細胞表層直下に接着しているため、宿主の原形質流動によって細胞質内を移動することはない。共生クロレラを包むPV膜の外側には、細胞直下に結合することに必要な物質や構造の存在が期待される。この構造への宿主細胞骨格の関与を調べるため、α-チューブリンに対するモノクローナル抗体を用いた間接蛍光抗体法で、宿主細胞質内におけるα-チューブリンの局在性を明らかにした。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
Y. Kodama
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Journal Title
Chapter 2 Infection process of the symbiotic Chlorella species to the host Paramecium bursaria. In, Endosymbionts of the ciliate Paramecium, (Ed. M. Fujishima)(Springer, Heidelberg, Germany) (印刷中)
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