2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 研治 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 木質構造 / ビス / 接合部 / せん断試験 / 引き抜き試験 / 設計式 |
Research Abstract |
木造住宅の建設の際、構造用面材等を留め付けるために大量の釘を使用するが、釘接合は解体時に手間がかかるため、木造住宅の分別解体を困難にしている。一方ビスは釘と比較して施工・解体が容易な接合具であるため、木質構造物の分別解体・リサイクルの推進において非常に有力な接合具である。しかし、ビス接合部の構造性能を計算により求める手法は確立しておらず、実験データの蓄積も不十分であるため、ビス接合を構造用途へ適用するためには、個別実験等を行わなければならないのが現状である。 本研究では、さまざまなパラメータを持つビス接合部について統括的に表現できる力学的モデルを構築し、任意の材料、形状、寸法、接合形式におけるビス接合部の荷重変形特性を推定する設計式を提案することを目指す。 ビス接合部の一面せん断性能にはビスの引き抜き抵抗が大きく影響を及ぼす。そこで、市販のビスのなかから谷径、ピッチ等の異なるビスを用いて引き抜き試験を行った。その結果、ビス形状による効果は木材のばらつきと比較して小さく、市販されているビスの範囲ではねじ部の形状を考慮しなくても実用上差支えないことが明らかとなった。また、既往の研究結果を用いて、呼び径と比重からなる引き抜き耐力の実験式を導いた。 また、ビス接合部の特徴としてビスの破断による脆性的な破壊形態があげられる。本研究ではビスの三点曲げ試験から求められる物性値として「終局変形角」を定義し、これを用いて一面せん断試験における破断変位の推定を試みた。その結果、ビスの破断が顕著に見られた試験体ではビスの破断変位を適切に評価できることが確認され、終局変形角を用いた破断変位の推定妥当性が示された。
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Research Products
(4 results)