2008 Fiscal Year Annual Research Report
衛星情報とGCMによる全球降雨分布特性・異常降雨指標の解析と温暖化による影響評価
Project/Area Number |
08J00374
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木島 梨沙子 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 全球気候モデルGCM / TRMM / TMI / 気候変動 / 瞬時降雨量の時間相関長さ / 低頻度衛星観測情報 |
Research Abstract |
本年は、全球気候モデル(GCM)の現気候再現、100年後予測の出力結果をもとに、それぞれ25年間のデータから得られる降雨統計量の算定およびその比較をアジアモンスーン域の雨季(6月〜10月)において行った。また、時間雨量から瞬時雨量へのダウンスケール手法を開発し、降雨場確率パラメータとして重要な、瞬時降雨量の時間相関長さの推定を現気候状態と将来予測結果において行った。 さらに、瞬時降雨量の時間相関長さの推定については、このダウンスケール手法を通して得られた結果と、低頻度の衛星観測情報を用いて瞬時降雨量の時間相関長さを推定する際に、月降雨量の標本分散を用いて行う推定手法(前年度での研究成果)の結果とを、現気候状態の時間雨量データ25年分を用いて比較した。その結果、月雨量と時間雨量の間に、時間のスケーリング構造が明らかになり、月雨量の標本分散を用いて行う推定手法が日雨量単位の標本分散を用いる必要性があることを明らかにした。したがって、低頻度の衛星観測情報から得られた月降雨量の標本分散を用いた場合については、その推定誤差が認められたが、推定誤差の評価が可能になったともいえる。この考察により、GCMの現気候状態出力から得られる降雨統計量を検証する際、低頻度の衛星観測情報が、どの時間スケールで、またどれくらいの期間蓄積されれば有効であるかを、明らかにできた。 また、GCMの極端現象の解析にも着手した。異常降雨指標としては、再現期間が100年の年最大日雨量および年最大7日雨量の算出を、現在気候出力と将来気候出力について行い、100年後の予測結果でどのように極値降雨が変わるかの検討を行った。また、モデルの現気候状態出力から得られた異常降雨指標の結果を、既往研究において30年間の地上雨量計のデータを用いて得られている異常降雨指標の結果をもとに、検証を行っている。
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Research Products
(13 results)