2008 Fiscal Year Annual Research Report
フコキサンチンによる生体内DHAの合成促進作用とメカニズムの解明
Project/Area Number |
08J00394
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津久井 隆行 Hokkaido University, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フコキサンチン / DHA / 肝臓 / マウス / Δ6不飽和化酵素 / アゴニスト |
Research Abstract |
フコキサンチン(Fx)による生体内DHA増加促進作用について検討を行った。肝臓においてα-リノレン酸が不飽和化反応及び鎖長延長反応を繰り返すことでDHAへと変換されることが知られている。これまでの結果からフコキサンチンは肝臓中のDHA合成経路を活性化させることで肝臓中のDHA含量を増加させていると考えられる。 1.まずDHA合成経路の律速酵素であるΔ6不飽和化酵素(D6D)のmRNA発現量及びタンパク質発現量を測定した。その結果、Fxの投与によってD6Dタンパク質発現量が増加することが明らかとなった。 2.DHA合成経路に関与する酵素はPPARαによって制御されている。同様にSREBP-1にも制御されていることが報告されており、このSREBP-1はLXRによって制御されている。そこでマウスにPPARα及びLXRのアゴニストを投与し、フコキサンチンの作用と比較した。その結果、PPARαのアゴニスト(Wy14643)を投与したマウスにおいて一時的なDHAの増加が認められた。この結果からFxはPPARαの転写制御下にある遺伝子の転写を活性化させていることが示唆された(投稿準備中)。 3.さらに、脂質代謝関連遺伝子の発現を比較するためにDNAマイクロアレイを用いて網羅的な遺伝子発現の解析を行った。その結果、脂質代謝に関連する7,000遺伝子においてFx及びWy14643を投与したマウスを比較すると、それぞれに共通して36遺伝子の発現が亢進され、14遺伝子の発現が抑制されることが明らかとなった。 本年度の研究によってFxは肝臓においてPPARα及びその標的遺伝子の転写を活性化させ、DHA含量を増加させていることが推察された。今後はその作用機構を培養細胞を用いてより詳細に検討していく予定である。
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Research Products
(4 results)