2009 Fiscal Year Annual Research Report
フコキサンチンによる生体内DHAの合成促進作用とメカニズムの解明
Project/Area Number |
08J00394
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津久井 隆行 Hokkaido University, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フコキサンチン / DHA / n-3系多価不飽和脂肪酸 / フコキサンチノール / アマロウシアキサンチンA / HepG2 / GC / GC-MS |
Research Abstract |
これまでに、フコキサンチン(Fx)を動物に投与することで、肝臓中のドコサヘキサエン酸(DHA)が増加することを見出した。しかし、生体内におけるその分子機構はいまだ不明である。哺乳動物の肝臓中におけるALAからDHAへの変換反応の第一段階は、ALAの不飽和化反応による18:4n-3の生成と考えるのが一般的である。しかし、不飽和化反応だけでなく、ALAの鎖長延長による20:3n-3への変換もありうる。そこで、本年度は、FxによるALAからのDHA変換促進作用の分子機構を解明するために、まず、ALAからのDHA合成反応の詳細を検討した。また、Fxの代謝物のDHA増大作用への関与についても明らかにした。主な成果は以下の2点に集約される。 1.ヒト肝臓ガン細胞HepG2にALAを添加し、ALAからDHAへの変換について検討した。その結果、代謝物中に18:4n-3が検出されなかったにもかかわらずEPAの増加が見られた。この際、EPAの前に未知の3ピークが検出され、GC-MS分析の結果、それぞれ20:3n-3,5,11,14,17-20:4n-3及び20:4n-3と同定できた。また、5,11,14,17-20:4n-3及び20:4n-3をHepG2に添加したところ、鎖長延長によるものと推定される代謝物が検出された。以上のように、ALAからEPAへの変換において、18:4n-3を介する以外の複数の経路を初めて見出した。 2.次にHepG2に対してALAと2種類のFxの主な生体内代謝物(フコキサンチノール(FxOH)とアマロウシアキサンチンA(AmxA))を添加し、ALA代謝物について検討した。その結果、FxOHを添加した細胞と比較してAmxAを添加した細胞中のDHA含量の増加量がより高かった。このことからフコキサンチンのDHA含量増加作用の生体内での活性本体はアマロウシアキサンチンAであることが推察できた。
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Research Products
(4 results)