2008 Fiscal Year Annual Research Report
走査型微小ホール素子顕微鏡を用いたエキゾチックな超伝導状態の研究
Project/Area Number |
08J00412
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 竜二 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鉄砒素系超伝導体 / 重い電子系超伝導体 / 磁化測定 / 下部臨界磁場 / 超伝導対称性 / 磁場侵入長 / 微小ホール素子 |
Research Abstract |
本研究では、重い電子系化合物や有機伝導体などにおいて期待されるエキゾチックな超伝導状態の磁気構造を直接研究することのできる新しいスペクトロスコピーを確立すべく、極低温・強磁場下において測定可能な走査型微小ホール素子顕微鏡の開発を進めている。第1年度目における研究では、走査型微小ホール素子顕微鏡の立ち上げ、及びアレイ状に配置した微小ホール素子を使用することで超伝導体試料の局所磁化の空間依存性を測定可能なシステムを構築し、重い電子系超伝導体や昨年発見された鉄砒素系高温超伝導体の下部臨界磁場の精密な評価を行った。まず走査型ホール素子顕微鏡の立ち上げに関しては、顕微鏡部分の設計・開発を行い、極低温用インサートと組み合わせ、ヘリウム3温度において強磁性体試料(ガーネット膜)の磁区の観測を行った。現在は第二種超伝導体における渦糸構造の観測を行い、測定条件等の最適化を進めている。また我々は微小ホール素子アレイを使用することで試料の中心や端など各々の場所における局所磁化の測定を行い、磁束の侵入が始まる試料端における局所磁化を評価することによって砒素系高温超伝導体の下部臨界磁場の精密な決定を行った。さらに、得られた下部臨界磁場の温度依存性はマイクロ波による磁場侵入長測定の結果と非常に良く一致し、鉄砒素系高温超伝導体PrFeAsO_<1-y>がノードを持だないフルギャップの超伝導体であること、そして下部臨界磁場の異方性からは、この系がマルチバンド超伝導体であり、二次元的なフェルミ面がより大きなギャップを持つことが示唆され、これらはこの系における超伝導発現機構を研究する上で重要な結果であると考えられる。
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Research Products
(15 results)