2008 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性FePtナノ粒子を用いたスピン制御素子の研究
Project/Area Number |
08J00422
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉田 芳紀 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 鉄プラチナ合金 / 磁気記録媒体 / 表面修飾 |
Research Abstract |
本研究では、強磁性L10-FePtナノ粒子層を強磁性金属と金電極で挟み込んだ構造の新規スピントロニクスデバイスの作製を目指し実験を行っている。本年度はまず、強磁性L10-FePtナノ粒子を金電極部に固定するため作業を行った。ナノ粒子の固定剤として我々が注目したのは「ジチオール化合物」である。チオール基は、金やプラチナと共有結合性の高い堅固な結合を形成することが一般的に知られている。そのため、この官能基を両端にもつジチオール化合物は金電極とL10-FePtナノ粒子の間でバインダーとしての役割を果たすのではないかと期待される。具体的には以下のように実験を行った。L10-FePtナノ粒子をクロロホルム溶媒に分散させておき、その粒子表面をジチオール化合物を用いて修飾した。次に微細加工技術を用いてシリコン基板上に金のドット及び細線を作製した。この基板を、あらかじめ用意しておいた粒子の分散したクロロホルム溶媒中に外部磁場を印加した状態で深沈させた。次にこの基板をブタノン中で超音波洗浄し、大気中で十分乾燥させた。その結果、強磁性L10-FePtナノ粒子が金ドットおよび金細線上にのみ付着している様子を、原子間力顕微鏡によって観察した。シリコン上にはナノ粒子が付着していなかったことから、これは我々のストラテジーどおりジチオール化合物がナノ粒子と金の間でバインダーとして働いていることを意味している。また、そのX線回折パターンを測定したところ、強磁性L10-FePtナノ粒子の磁化容易軸が配向していることが明らかとなった。これは、本研究の目的である強磁性ナノ粒子を用いた室温動作する新しいスピン制御素子を開発する際に大変有用な結果である。
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Research Products
(5 results)