2008 Fiscal Year Annual Research Report
中世から近世における和歌会の様相と、和歌会資料についての文献学的研究
Project/Area Number |
08J00428
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山本 啓介 Gakushuin University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中世 / 和歌 / 作法 / 和歌会 / 作法 / 作法書 / 続歌 / 会席 |
Research Abstract |
和歌文学が実際に行われた場の一つである和歌会の様相を知ることは文学研究のみならず、それに関連する文化研究上も重要であるが、現在のところ研究が進んでいない分野と言える。本年度は、和歌会作法研究の資料整備等の基礎研究を主たる目的とし、和歌会作法書の書誌的調査を重点的に行った。現在のところ合計で170点前後の和歌会作法書の調査を終了している。以上の調査の結果を整理し、各作法書の諸本の系統分類、分析を行い、「現存和歌会作法書目録リスト」の作成を進めている。また、和歌会記録の基礎調査も併せて行った。室町中・後期を中心に古記録を調査し、和歌会に関する記録のリストの作成を進め、内容をデータとしてまとめている。また、各機関に所蔵されている現存和歌懐紙・短冊の調査も併せて行い、和歌会作法書との対応関係を確認している。 以上の研究成果の一端を反映して、室町時代の和歌会の一様式であった「続歌」についての考察として「『続歌』とは何か-和歌会作法書を手がかりに-」を学会誌「和歌文学研究」96号(2008年6月)に掲載した。また、和歌会作法書の中でも特に重要な三書を選び、その本文と注釈の作成を行い、共編として『文芸会席作法書集和歌・連歌・俳諧』(風間書房、2008年10月)を刊行した。また、室町期を中心とした和歌会作法書のなかでも特に主要な書の整理・分析を行い、それらをもとに室町時代の和歌会の様相についての考察をまとめ、単著として『詠歌としての和歌和歌会作法・字余り歌□付<翻刻>和歌会作法書□』(新典社、2009年1月)を刊行した。なお、同書には資料として、和歌会作法書の翻刻も計九種類所収した。以上の研究成果は、これまで未整理であった和歌会作法書の資料整理を進め、他分野においても広く活用しうるものと思われる。
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Research Products
(2 results)