2009 Fiscal Year Annual Research Report
中世から近世における和歌会の様相と、和歌会資料についての文献学的研究
Project/Area Number |
08J00428
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山本 啓介 Gakushuin University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 和歌 / 和歌会 / 会席 / 作法 / 作法書 / 続歌 / 中世 / 室町 |
Research Abstract |
和歌が「行われた」代表的な場である和歌会の様相を知ることは、和歌作品の研究のみならず、文化的諸相への考察、特に中世において発展を遂げた会席の様相などの文化的背景などを解明する上でも重要な研究と位置づけうる。 本年度は、前年度に引き続き和歌会作法書類の資料調査を行い、各作法書の分析と系統分類をし、現存する和歌会作法書の目録の作成を進めた。同目録は現在のところ当初目標と設定した調査をほぼ終了しており、全体の統一などを行った上で近く発表する予定である。同目録は、これまで整備の進んでいなかった和歌会作法書の調査の今後の進展に寄与するものと考えている。 こうした調査にあわせて、室町中・後期を中心に和歌会に関する古記録を収集調査し、内容をデータとしてまとめている。また、現存和歌懐紙・短冊の調査もあわせて行い、和歌会作法書との対応関連についても考察を行っている。 以上の調査の成果として、和歌文学会において「飛鳥井家の和歌会作法書『和歌之条々』について-雅俊・雅綱・雅教三代の作法書の整理を中心に-」(2009年6月)を口頭発表し、次いでその成果を反映して「飛鳥井流和歌会作法書『和歌条々』について-諸本と伝授関係の整理を中心に-」(「国語国文」2009年11月)、「飛鳥井家の和歌会作法伝授-『和歌条々』を中心に-」(「和歌文学研究」2010年6月刊行予定)を掲載した。これら一連の研究は、室町後期の飛鳥井家当主が諸相に伝授した和歌会作法書に関する伝本の分類・内容分析を中心に行ったもので、当時の和歌作法伝授における人間関係の一端を明らかにしつつ、彼ら代々の当主が伝授の相手によって内容をその都度整備調整しながら作法書を授けていたことなど、和歌作法伝授の一面に迫ったものである。これらの研究は、当時における歌道伝授に加えて、地方武家相など含めた様々な層における文化享受の有り様の一資料としても重要なものであると考えている。
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Research Products
(3 results)