2008 Fiscal Year Annual Research Report
異方性相分離無機ナノ粒子の合成と構造特異的機能の創出
Project/Area Number |
08J00429
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
猿山 雅亮 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ粒子 / 金属硫化物 / 配列制御 / ヘテロ接合 / 半導体 |
Research Abstract |
半導体ナノ粒子のナノデバイス構築ブロックへの応用に向け、CdSを含む新規異方性相分離ナノ粒子「硫化CdPdナノ粒子」の合成に成功した。PdS_xナノ粒子にCdSを成長させる過程において、PdS_xナノ粒子中のPd^<2+>がCd^<2+>とカチオン交換し、Pd_xCd_yS相に結晶相転移した後、CdSが成長することにより、花型構造の異方性相分離ナノ粒子が選択的に生成した。また、CdSナノ粒子にPdS_xを成長させた場合、2つのCdS相をPdS_x相が架橋したダンベル構造ナノ粒子を選択的に得た。さらに、PdS_x相による架橋機構を利用し、CdSナノロッドを架橋し、鎖状構造体を得ることに成功した。この研究で、種粒子の種類によって異なる相分離構造を得られることを新たに見出し、異方性相分離ナノ粒子の合成ライブラリの充実に寄与した。 また、3.4nmのCdSナノ粒子がCl^-と界面活性剤の添加および加熱によってOstwaldライプニングが活性化され、17nm(短軸)×30nm(長軸)の六角柱型ナノ粒子(ナノペンシル)へと構造が劇的に変態する現象を発見した。ナノペンシルは均一なサイズと構造を有し、基盤に直立し、広範囲にわたって二次元および三次元超格子を形成する。この構造変態手法は、他のCdカルコゲニド(CdSe、CdTe)ナノ粒子にも応用でき、汎用性が高い。ナノペンシルにAuを成長させたところ、界面エネルギーの大きいエッジ部に選択的にAu相が成長した。CdS-Auヘテロ接合は、CdS相の励起電子がAu相に移動することによってキャリアが空間的に分離し、励起子の長寿命化による可視光応答性光触媒や光電子デバイスに応用できる。ハイブリッドCdS-Auナノ粒子はナノペンシルのサイズと構造の均一性を保っており、ナノペンシル同様の超格子を形成するため、異方性相分離構造ナノ粒子の指向的配列制御のための理想的な系である。
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