2010 Fiscal Year Annual Research Report
次世代ゲルマニウムデバイスの実現に向けたゲートスタック技術の研究
Project/Area Number |
08J00433
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朽木 克博 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | Ge-MOS / ゲルマニウム酸窒化膜 / 高密度プラズマ窒化技術 |
Research Abstract |
近年の情報化社会の基礎を担う大規模集積回路の高集積化・高性能化は、その基本構成要素であるMOSFETの微細化により達成されてきた。しかし、従来のシリコンをベースとしたMOSFETの物理的限界を考慮すると、微細化とは異なる手法でデバイスの高性能化を実現する必要があり、チャネルの高移動度化が有望な技術として期待されている。 本研究では、シリコンよりも高い移動度を有するゲルマニウム(Ge)に着目し、Ge-MOSデバイスの実現に向けた技術課題の背景にある物理現象を解明すると共に、デバイス応用に向けた要素技術の研究に取り組んできた。昨年度は、良質なGeO_2/Ge界面特性とGe_3N_4膜の高い安定性に注目して、極薄GeO_2膜表面をプラズマ窒化することによりGe酸窒化(GeON)膜を作製し、シリコン酸化膜換算膜厚(EOT)1.7nmの薄膜領域においても優れた界面特性を有していることを見出した。本年度は、Ge基板上に形成した極薄GeON膜をゲート絶縁膜として用いたp型Ge-MOSFETを作製し、そのトランジスタ特性を評価した。その結果、Ge-MOSFETの正孔移動度のピーク値は414cm^2/Vsであり、従来のSi-MOSデバイスの移動度特性と比較して2.4倍の移動度を得ることができた。このように高い移動度を実現できたことは、デバイスの高速化という観点から大変重要である。また、EOTが小さくなるほど界面準位密度は増大し、様々な散乱機構の影響を受けることで実効移動度が劣化する傾向があるが、報告されているEOTと実効移動度のトレンドと比較して、本研究で作製したMOSFETの大きな優位性を確認した。パッシベーション膜やhigh-k膜を用いることなく、薄膜領域で高い移動度を得ることができたが、この結果はGeONの高い安定性と優れた界面特性を裏付けている。この研究内容は国内外の学会で高く評価された。
|
Research Products
(5 results)