2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現情報と遺伝子摂動による表現型変化の関連性の解析
Project/Area Number |
08J00450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 勝徳 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酵母 / ストレス / 遣伝子発現情報 / 表現型 |
Research Abstract |
網羅的な遺伝子発現情報が解析可能となり、細胞育種への応用が試みられている。しかし、どのような発現変化を示す遺伝子を破壊や過剰発現すれば表現型を変化させることができるのかは明らかでない。そこで、本研究では、遺伝子発現情報にもとづく細胞育種法の開発に向け、全ての遺伝子について遺伝子発現と遺伝子破壊や過剰発現による表現型の変化の関連性を解析した。まず、全ての遺伝子について1遺伝子を破壊した遺伝子破壊株コレクションを用い、エタノール環境下で培養し、比増殖速度を測定することで、遺伝子破壊による表現型の変化の情報を取得した。親株の比増殖速度と比較し、遺伝子破壊がエタノール環境下における増殖速度の低下を引き起こす遺伝子を抽出した。抽出した遺伝子の機能を解析した結果、ペルオキシソームがエタノール環境下での増殖に影響を与える機能であることを発見した。次に、エタノール耐性の異なる2種類の酵母のエタノール環境下における遺伝子発現情報を用い、遺伝子発現情報と破壊による表現型変化の関連性を解析した。その結果、エタノール環境下で遺伝子発現量が増加する遺伝子は、破壊してもエタノール環境下での増殖に影響を与える傾向が低いことや、エタノール耐性能の異なる酵母においてエタノール環境下で互いに異なる発現変化を示す遺伝子の破壊がエタノール環境下での増殖を低下させる傾向が高いことが示唆された。さらに1遺伝子破壊株と1遺伝子過剰発現株を非ストレス環境下で培養し、破壊や過剰発現が増殖速度の低下や増加を引き起こす遺伝子を抽出した。それらの遺伝子と親株における遺伝子発現量の関連性について解析したところ、遺伝子発現量が高い遺伝子の破壊は増殖速度の低下を引き起こす傾向が高いことが示唆された。以上より、遺伝子発現情報と細胞の表現型に関連する遺伝子の関連性について基礎的な知見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)