2009 Fiscal Year Annual Research Report
剛直な平面骨格を有する含高周期15族元素パイ電子拡張共役系の創製
Project/Area Number |
08J00456
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津留崎 陽大 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジホスフェン / パイ共役系 / 立体保護 / ホウ素 / 1,2-アリール転位 / ジボスファジホレタン / ホスフィノボラン / 蛍光 |
Research Abstract |
本研究は、高周期15族元素間二重結合を含むパイ電子拡張共役系の創製を目的としている。ジホスフェン部位とパイ電子共役拡張部位との効果的な共役拡張を実現するために、分子内のリン-ホウ素原子間配位結合を活用したジボスフェン類の合成を検討した。実際には、ビス{8-(ジアリールボリル)ナフチル}ジホスフェン1を標的化合物として、その合成を検討した(アリール=3,5-ジ-tert-ブチルフェニル(a)orメシチル(b))。 ジホスフェン1の前駆体と考えられる1-ジクロロホスフィノ-8-ジアリールボリルナフタレン2は、1,8-ジブロモナフタレンを出発原料として、段階的にホウ素原子、リン原子を導入することにより2段階で合成した。ジクロロホスフィン2に対して、金属マグネシウムなどによる還元反応によるジホスフェン合成を検討したところ、いずれの場合も期待したジホスフェン1は得られなかった。ジクロロホスフィン2aの還元反応では、transおよびcis異性体のジホスファジボレタン3aおよび4aがそれぞれ48%および44%の収率で得られたのに対し、2bの還元反応では、ホスフィノボラン5bが78%の収率で得られた。すなわち、還元反応において、ホウ素原子上のアリール基の一つがリン原子へと転位することが判った。本反応はリン-ホウ素結合を有する新規なヘテロ環合成に有用であると考えられる。さらに得られたホスフィノボラン5bの構造およびその光物性を解明した。
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Research Products
(6 results)