2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00461
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
並木 亮 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子情報処理 / 量子情報通信 / 冷却原子集団 / 量子メモリー / エンタングルメント / 量子中継 / スピンの量子非破壊測定 / 最適測定 |
Research Abstract |
光と原子集団を使った量子情報処理演算の根幹となるスピンの量子非破壊測定の実験実証をパルス光と冷却したYb原子を用いて行った。(i)Yb原子の基底状態は集団スピンのモデルとしては理想的な核スピン1/2であること、(ii)パルス光の時間幅はコヒーレンス時間より十分短く、コヒーレンス時間内に多数回の演算処理を実行可能であること、(iii)実験は冷却された原子で行われた、という3点は、原子物理の実験としても新しく、今後の複雑な演算の実装への重要な進展である。理論の研究として直交しない2状態を用いた量子演算成功の条件の提案を行った。演算機に入力する2つの非直交状態と標的となる2つの状態を定め、古典通信を用いた場合達成できる最大の忠実度を任意の事前確率に対して求めた。この最大忠実度を実際の演算が凌駕すれば、演算が量子相関(エンタングルメント)の作用を利用している証拠となる。さらに従来の平均忠実度の表式からLegendre変換で事前確率を消去することで、平均忠実度を経由せずに演算成功の条件をより直接的に議論できる表式を与え、実験に即したコヒーレント光、スクイーズド光を用いた例を示した。また標的となる状態が直交している場合、この最適化問題は最適測定の問題に帰着されることを示した。つまり最適推定と最適測定という従来知られていた大きな2つの異なる問題をひとつの枠組みで扱えることを指摘した。これらにより新たな視点から量子相関の役割を議論できると期待される。量子中継の実現は量子情報通信の中心課題である。その土台となるコヒーレント光を用いた量子メモリー間でのエンタングルメント生成方式の提案および最適性の証明を行った。「最適性の証明」は現時点で世界最高であるだけではなく、将来に渡って可能などのような方法も我々の提案を超えられないということを意味する革命的結果である。
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Research Products
(16 results)