2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00461
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
並木 亮 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 量子情報処理 / 量子情報通信 / 冷却原子集団 / エンタングルメント / スピン・スクイージング / 仮想磁場効果 |
Research Abstract |
冷却原子集団と線形光学素子を用いた量子情報処理の実現に同けて、我々はYb原子の制御には仮想磁場効果が有用な要素技術であると認識し、原理検証と応用の提案を計画した. 仮想磁場効果を用いて、集団スピンの回転操作を実行し、スピン・スクイージングの特徴である非等方的な量子雑音を直接観測することに成功した.集団スピンの回転操作は「光の実験における位相変調」に対応する演算であり、量子情報処理のみならず、量子論の検証実験で頻繁につかわれる基本的な道具である.実験では、180度の回転操作後もスクイージングの度合いは、ほぼ減衰していないことを確認した.このことは、コヒーレントに操作が行われていることの証拠のひとつであり、さらに複雑な量子情報処理演算を繰り返し実行できる可能性を示唆する重要な進展である. また、仮想磁場効果と我々が提案している量子状態交換の演算を応用することで冷却原子スピンの量子状態トモグラフィーが可能なことを理論的に示した.最も単純には量子状態交換後に、光の状態のトモグラフィーを行えば、集団スピンの初期状態のトモグラフィーが実行できたことになるが、量子状態交換には3回の相互作用が必要である.実はトモグラフィーを行うだけなら2回の相互作用で十分であることを指摘した.また、一回の相互作用でトモグラフィーを行う場合は原理的にノイズが加わってしまうことも指摘した.この提案は実験の手間を着実に減らす方針を与え、仮想磁場効果の有効性を強調するだけでなく、量子情報処理演算の実現とトモグラフィーの手法との具体的な関係を明示し、さらにいくつかの典型的な量子測定との対応も指摘している.様々な点で理論および実験に刺激を与える成果であると考える。 その他の理論展開として、非ガウスの特性関数をもつエンタングルド状態の例を見つけ、新しいセパラブル不等式を導いた.
|
Research Products
(14 results)