2008 Fiscal Year Annual Research Report
スウェーデンの地方分権化改革における教育実践の変容
Project/Area Number |
08J00476
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 寛平 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2) (10726376)
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Keywords | スウェーデン / 地方分権化 / 教育改革 / 学校選択制 / バウチャー制度 / 学校開発 |
Research Abstract |
本研究は、スウェーデンの地方分権化改革が教育実践に与えた影響を分析することを目的としている。改革の基礎とされた「自律的な学校開発」とはいかなるものだったのか、改革によって教師たちの実践はどのような影響を受けたのか、教育学研究と学校開発理論は教育改革の中でどのような役割を与えられたのかを検討することによって、日本が歩もうとしている分権化改革への有用な示唆を得ようとするものである。 本年度は、地方分権化改革による教育実践への影響を分析するために、義務教育費の制度を分析した。学校選択制とバウチャー制度の導入により、学校間競争が激しくなる中で、コミューン(地方自治体)は私立学校と公立学校を競わせると同時に、公立学校間の協働を促進するという二面的な立場に立たされることになった。学校教育庁や地方自治体組合、コミューンでインタビューを行った結果、それぞれのコミューンはバウチャー制度の設計や額の加減によって競争的環境を制御していることが明らかになった。特に、コユーン議会の勢力分布に影響を受けて、競争と協働のいずれを強調するのか異なることが分かった。この研究は2008年のヨーロッパ教育学会(スウェーデン・ヨテボリ大学)にて発表した。 また、現在はスウェーデンの教員養成改革史を手掛かりとして、「自律的な学校開発」のアイデアがいつ頃から導入されたのかを調査している。1977年に行われた教員養成改革では、教師の協働がテーマのひとつになり、教員養成課程に教員をチーム(グループ)で組織し、チーム・ティーチングができるようになるための授業を設けることが義務付けられた。これを受けて各学校の「自律的な開発活動」が達成すべきビジョンとして設定されたのではないかと考えている。スウェーデンの教員養成改革と国際化については、東京学芸大学の紀要に掲載されることが決まっている。
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Research Products
(3 results)