2009 Fiscal Year Annual Research Report
先進カーボン材料の複合システム構築に向けたナノトライボロジーの研究
Project/Area Number |
08J00496
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 直浩 Kobe University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 先進カーボン材料 / オニオンライクカーボン / トライボロジー / 固体潤滑 |
Research Abstract |
先進炭素材料複合システム構築のためには、スケール効果による摩擦力の増大を十分に検討することが必要である。本年度はオニオンライクカーボン(OLC)を中心にその合成から、薄膜化、ナノトライボロジー特性の検討まで一貫した研究を行った。 OLCの合成は、先行研究により報告されている手法であるダイヤモンドナノ粒子(DNP)を真空アニール処理することで行った。合成したOLCを基油のポリアルファオレフィンに添加しトライボロジー特性への影響を調べることで、OLCの応用を検討した。 本年度は、前年度に得られた先進カーボン材料の優れた基礎的トライボロジー特性をうけて、特にその応用を検討するために、潤滑油中での挙動に関して検討を行った.PAO中に添加した各種先進カーボン材料の摩擦特性は、OLCを添加した場合に特徴的な摩擦低減効果が得られることが明らかとなった。さらに原子間力顕微鏡を用いた観察より、OLCを添加した場合粒子が摩擦界面に侵入し界面に留まることで、低摩擦薄膜が摩擦材表面に形成されることが明らかとなった.鋼鉄表面に吸着したOLC粒子はLFM観察の結果,その粒子表面において低摩擦力が検出されており、摩擦界面への粒子の侵入と低摩擦の発現の相関を裏付ける結果となった.このような潤滑油中での粒子の振る舞いは、その粒子形状や液中での分散特性が強く影響するものと考えられ、OLCはこのような実際の応用に対して高い適合性を有するものと考えられる。このことをさらに詳細に検討するため、摩擦係数の接触圧力依存性を調べた結果、接触圧力の増加にともなった明らかな摩擦係数の低下がみられ、また再度接触圧力を低下させた結果、ヒステリシスを有することが認められ摩擦係数の減少がみられた。したがって、摩擦中における低摩擦薄膜は、特に高負荷時においてその形成が進行するものと考えられ、実用上有利な点と言える。
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Research Products
(2 results)