Research Abstract |
本年度は,(1)十勝平野の戦後開拓地を事例とし,農家間の社会関係から農地移動に至るプロセスについての研究,(2)中山間地域において,棚田での農地利用をめぐる農家の存立基盤についての研究,(3)関東平野の稲作卓越地域において,貸借権の設定や作業受委託による特定の担い手への農地の利用集積の仕組みについての研究,(4)那須地域において,農業生産空間が既存の観光地に包摂されていく実態についての研究を行った。 (1)については,2007年度に実施した調査で取得したデータを整理した。その結果,大規模農家が実施したそれぞれ農地移動のプロセスは,大規模農業経営において,いかなる役割を果たしているのか考察した。この研究に関しては,「経済地理学会2008年関東支部4月例会」にて発表し,学術誌「地理学評論」へ投稿中である。 (2)については,長野県上水内郡中条村の棚田百選「大西」を事例として,棚田での耕作が維持されてきた基盤について,地域の「内的」要因と,棚田百選としてまなざされる「外的」要因から考察した。この研究に関しては,「日本地理学会2008年秋季学術大会」にて発表し,学術誌「人文地理」へ投稿を予定している。 (3)については,千葉県成田市北須賀地区を事例として,大規模稲作経営を行う特定の担い手へ,農地が集積される仕組みに関する現地調査を行った。この研究に関しては,「日本地理学会2009年秋季学術大会」で発表する予定であり,学術誌「地域研究年報」へ投稿を予定している。 (4)については,観光地として発展してきた那須地域において,農業体験や観光農業,農産物直売所などを通じて,農業生産空間が観光化してきた実態について考察した。この研究に関しては,「日本地理学会2008年秋季学術大会」にて発表し,学術誌「地理空間」へ掲載された。
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