2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内送達ベクターと自己分解型リンカーに基づく効率的薬物粘膜透過システムの構築
Project/Area Number |
08J00548
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高山 健太郎 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルギニンペプチド / エンドサイトーシス / サイトゾル移行 / 膜透過促進配列 |
Research Abstract |
既存のアルギニンペプチドよりも効率的な膜透過ベクターの開発を試みた。 従来のアルギニンペプチドに付加することで有意に細胞内移行量が増加する短鎖ペプチド配列を見出し、これを膜透過促進配列(Pas : penetration accelerating sequence)と名付けた。Pasを付加したアルギニンペプチドは、未付加のペプチドに比して有意に高い細胞内移行性を示し、10μMの濃度で細胞へ添加後5分で、顕著なサイトゾルへの移行が確認された。この濃度領域では、従来のアルギニンペプチドはエンドサイトーシスで細胞内へ取り込まれるため、多くがエンドソームにトラップされることが問題となっている。したがって、Pasを付加することによって、この問題を解決できる可能性が示された。また、Pas付加したアルギニンペプチドは、4℃条件下で顕著に細胞内移行が阻害され、またアクチン重合阻害剤存在下でも細胞内移行量は減少したことから、エネルギー依存的に細胞内へ移行することがわかった。さらに、生理活性ペプチドとしてすでに報告されているp53 C末端由来ペプチドを用いて、細胞増殖阻害活性を指標にPas付加の有用性を示した。 次に、Pas配列中で、アルギニンペプチドの細胞内移行促進に重要なアミノ酸残基およびペプチド配列の同定を行い、新たにPas2を設計した。前述と同様の検討により、Pas2の細胞内移行促進効果が、従来のPasよりも高いことを確認できた。これらを用い、効率的薬物粘膜透過システムの確立へと繋げたい。
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Research Products
(6 results)