2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00570
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋坂 昌幸 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メゾスコピック系 / 半導体人工ナノ構造 / 輸送現象測定 / 量子雑音測定 / 量子ポイントコンタクト |
Research Abstract |
半導体メゾスコピック系における輸送現象は、一般にエネルギースケールが小さいため、それを実験的に研究するためには極低温における精密な電気測定が必要である。その量子雑音を測定するためには低温技術と雑音測定技術を組み合わせる必要があること、また十分に雑音測定の精度と感度が高いことが必要であり、技術的な困難が大きく、これまで十分に測定手法が確立されていなかった。本研究では、これらの技術的課題を希釈冷凍機中に自作のLC共振回路、および増幅回路を実装することで解決した。これによって、電子温度30mKという極低温の実験環境が実現し、また世界有数の感度の雑音測定手法が確立された。さらに本研究では、2つのメゾスコピック系が静電的に結合した系に対して雑音測定を行い、静電的な結合がデバイス間の雑音に相関をもたらすことを確認した。より具体的には、2つの素子が静電的に結合した系において、一方の素子で生じるショット雑音が他方の素子に影響を与える様子を、雑音測定によって直接的に評価した。この結果は量子ショット雑音による電子のデコヒーレン、スを定量的に評価し、量子エレクトロニクスにおける素子設計に指針を与えるという点で極めて重要である。また本研究で結合型メゾスコピック系で検証された雑音相関は、メソスコピックデバイス間に生じるエネルギーの流れを定量的に評価したものであり、基礎研究として非常に重要であるだけでなく、基板上に局所的に配置された超高精度の"熱源"および"熱量計"を提案したものとして、応用的観点でも重要である。
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Research Products
(4 results)