2008 Fiscal Year Annual Research Report
「心の時代」における「感情の地理学」の構築に向けた基盤的研究
Project/Area Number |
08J00611
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 陽平 Nagoya University, 環境学研究科, 学振研究員PD
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Keywords | 感情の地理学 / 受動喫煙 / 健康の地理学 |
Research Abstract |
現代日本では、「心の時代」「感性の時代」といわれるように、メンタルヘルスへの注目をはじめ、人々の感情に関わる問題がクローズアップされている。これは、感情的な事象よりも機能的な事象を重視してきた、従来の日本社会の価値観が、変革期を迎えていることと無関係ではない。本研究の目的は、このような社会的観点を踏まえ、感情と場所の問題に注目し、英語圏の地理学を中心に萌芽期の段階にある「感情の地理学」研究の基盤を、日本のコンテクストから構築することにある。 本年度は、感情の地理学の最先端であるイギリスおよびカナダを中心とした英語圏の文献調査を行い、感情の地理学研究が必要とされる学術的、社会的意義を理論的に検討した。また、本研究の隣接分野となる心理学・社会学・人類学・精神医学等の文献調査を実施することで、学際的な観点から、地理学独自の研究意義を整理した。なお、次年度以降の事例研究の対象として、健康をめぐる今日の世界的な課題の一つとして挙げられる受動喫煙問題を選定した。受動喫煙問題は、日本国内でも路上禁煙地区制定などの多様な反応にみられるように、感情と場所をめぐる大きなトピックの一つであると想定される。具体的には、受動喫煙症患者への聞き取り、およびたばこ会社のメディア戦略等のプレ調査を実施することで、喫煙行為をめぐる日本人の感情と場所の問題を解明するための調査方法を検討した。
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