2008 Fiscal Year Annual Research Report
選択的リグニン分解性担子菌の脂質代謝関連酵素遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
08J00629
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 冴子 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 白色腐朽菌 / 選択的リグニン分解 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
本研究は,リグニン分解性担子菌の一種であるCeriporiopsis subvermisporaが有するユニークな選択的リグニン分解機構を分子レベルで解明することを目指し,本機構への関与が強く示唆される脂質代謝関連酵素遺伝子の機能解析を目的としている.今年度は,これまでに完全長cDNAを取得している脂肪酸不飽和化酵素遺伝子に加えて,脂肪酸合成酵素,アセチル-CoAカルボキシル基転移酵素,長鎖脂肪酸活性化酵素をコードする遺伝子(cDNA)を新たにクローニングし,様々な培養条件におけるこれら酵素遺伝子の転写解析を行った.その結果,培養温度を低温にすると,特に脂肪酸不飽和化酵素遺伝子の転写誘導が顕著であることが分かった.この現象は,様々な微生物種に見られる細胞膜の流動性保持のための応答によるものと示唆される.また,リグニンフラグメントの一種を培地に添加すると,これら脂質代謝関連酵素遺伝子の内,数種類の転写が誘導されることも明らかとなった.実際,リグニンフラグメント添加時には菌体成長,リグニン分解酵素活性,そして,長鎖不飽和脂肪酸の産生量が促進される.これらの現象と今回の酵素遺伝子の転写誘導は選択的リグニン分解のプレーヤーである脂質代謝物の生合成系の促進と密接に関係していると考えられ,極めて興味深い.さらに,単一の刺激で複数の脂質代謝関連酵素遺伝子の転写が誘導されるという今回の結果については,複数の遺伝子の転写を同調的に誘導させる何らかの転写制御因子の関与が予想される.一方,長鎖脂肪酸活性化酵素については大腸菌での高発現及び精製に成功した.
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Research Products
(3 results)