2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌の染色体とFプラスミドの分配における局在振動タンパク質群の役割の解明
Project/Area Number |
08J00635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 隼 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 染色体分配 / SecA / MukB / トポソメラーゼIV / DNAジャイレース / 超螺旋 / カテナン / 二次元電気泳動 |
Research Abstract |
大腸菌の染色体分配に関わる局在振動タンパク質群の解析については、DNAに負の超螺旋(螺旋構造を持つ物質がさらに全体として大きな螺旋を形成すること。負とは元の螺旋と逆方向。)を形成させ、DNAが連結したカテナンを解消する酵素DNAジャイレースの阻害剤ノボビオシン、また超螺旋とカテナンを解消する酵素トポイソメラーゼIV変異株・DNA構造タンパク質の欠失変異株(ΔMukB変異株)・膜タンパク質透過酵素遺伝子secA変異株・secA ΔMukB二重変異株を用いて、pUC19プラスミド(小サイズの自律複製DNA)のカテナン形成及び超螺旋形成のクロロキンを用いた二次元電気泳動による構造解析を行った。その結果、secAに関して新規にカテナンを解消及び負の超螺旋を形成することに関わるという結果を得た。MukBもカテナンの解消に関わっていた。ノボビオシン及びΔMukB変異株・secA変異株・secA ΔMukB二重変異株を用いた解析により、SecAのプラスミドトポロジー(構造)に関する働きはMukBとDNAジャイレース、そしておそらくはトポイソメラーゼIVを介したものであることを発見した。これは従来DNAとは関係がないと思われていた大腸菌の膜タンパク質透過酵素SecAが細胞内でのDNAのトポロジーの制御に中心的に関わるという強力な証拠であり、バクテリアの染色体分配の研究に新規概念を提供するものである。また、局在振動タンパク質群の細胞内局在のダイナミクスの詳細な画像を得るため、京都大学大学院医学研究科の渡邊直樹准教授の助けを得て、ダイナミクスの画像を全て撮り直して解析した。これらの結果と、研究者自身の以前の報告及び局在振動タンパク質群の変異株で見られる細胞伸長がSOS応答(DNA傷害応答)でないこと、SecAの阻害は染色体の複製は顕著に阻害しないことなどの結果と合わせ、現在論文の投稿中である。
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