2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型新規溶液反応場における、C1、C2分子の反応素過程
Project/Area Number |
08J00648
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八坂 能郎 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イオン液体 / 精製 / 不純物 / 分析 / NMR / MD / 回転相関時間 |
Research Abstract |
環境調和型溶媒、イオン液体における溶媒和と反応素過程に関する研究を以下の項目について、当初の計画通り実施し、研究成果を発表した。 (1)イオン液体中の不純物の分析方法、高純度イオン液体の合成法の確立 イオン液体中での反応速度論の研究において、不純物の影響は大きな問題となる。そこで、イオン液体中の不純物(特に酸)のNMRによる定量法を確立する必要がある。本研究で、我々はNMRを用いてイオン液体中の酸を検出し、定量する方法を開発した。NMRは一般に微量分析に向かないと考えられるが、水をNMR的な酸の指示薬として用いることでNMRの高い周波数分解能を生かした微量分析が可能となることを見出した。この分析法を応用することで、不純なイオン液体を精製する手段として再結晶が非常に有効であることがわかった。これにより、再結晶による精製手段と、NMRによる不純物の微量分析を組み合わせることで、純度の高いイオン液体を合成する方法が確立した。 (2)イオン液体中における水の溶媒和 イオン液体はイオンのみからなる液体であるため、クーロン力による非常に強い溶質溶媒間相互作用が存在する。これはC1,C2分子の新反応を理解する上で鍵となる。そこで、強い極性分子である水分子のイオン液体中における溶媒和状態をNMRと分子動力学計算の両面からアプローチした。 第一に、NMRを用いてイオン液体中に溶解した孤立水分子の化学シフトを測定した。水分子の化学シフトがイオン液体を構成するアニオンの種類に強く依存していることが明らかになった。第二に、分子動力学計算によりイオン液体中における水分子の回転ダイナミクスを研究した。これまで実験に基づいて我々が明らかにしてきた、イオン液体中における水分子の回転のクーロンカによる減速を、シミュレーションによっても裏付けることができた。
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Research Products
(6 results)