2010 Fiscal Year Annual Research Report
葉層構造および数論的な位相空間に対する力学系の作用素環論的手法を用いた解析
Project/Area Number |
08J00656
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 真 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 作用素論 / 非可換幾何 |
Research Abstract |
Connes-Landiによって導入されたtheta変形環上のスペクトラル3つ組によって定まる巡回コサイクルの振る舞いについて研究した。もとの環の上のトーラス作用で不変な巡回コサイクルに対し変形された環の上の巡回コサイクルを定義し、そのK-群との対合に関する公式を与えた。証明の鍵となったのはKronecker葉層の類似である実数群の作用によってtheta変形を強森田同値な環で置き換えることだった。この応用として、変形パラメータを動かしたときにConnes-Chern指標がK群に引き起こす写像が不変であることを示した。また、無理数回転環の場合に知られていた正規化トレースがK群に引き起こす写像の像の計算の問題が、一般的にtheta変形の枠組みの中で実行可能なことを示した。 また、対称群のII1-因子表現から導かれる作用素環の包含の構造についても研究した。このようにして得られる包含が既約であることの必要十分条件や指数有限であることの必要十分条件などをThoma指標に関する条件として与えることができた。とくに、既約な部分因子環はWassermannによる構成と正則表現により得られる構成との2種類に限られることがわかった。ここでの証明の鍵となったのは、対称群の中の特別な元の、部分因子環の相対交換子への条件付き期待値のモーメントとしてThoma指標を解釈することだった。また、この構成による部分因子環の相対エントロピーがBoyko-Nesonovによる力学エントロピーと同様に評価できることが示せた。
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Research Products
(3 results)