2008 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成におけるグルタミン酸受容体デルタ2サブユニットの役割
Project/Area Number |
08J00658
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畔柳 智明 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グルタミン酸受容体δ2サブユニット / シナプス形成 / LIVBPドメイン |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体δ2サブユニット(δ2)は、イオン透過型グルタミン酸受容体ファミリーに属する膜タンパク質であり、小脳の平行線維-プルキンエ細胞間シナプス後膜に選択的に局在している。δ2欠損マウスでは、平行線維-プルキンエ細胞間シナプスが減少することが報告されていた。私は、これまでに、δ2を発現させたHEK細胞を、小脳神経細胞と混合培養することによって、HEK細胞に対して神経伝達を担うことのできるシナプス前終末を誘導できることを見出した。本年度は、特に以下の三点の成果があった。(1)イオノトロピックグルタミン酸受容体δ2サブユニット(δ2)の細胞外ドメインはグルタミン酸結合ドメインと受容体の多量体形成に必要なLIVBPドメインに分けられる。私はグルクスン酸結合ドメイン、あるいは、LTVBPドメインを膜表面に発現させたHER細胞と小脳神経細胞の混合培養によって、LIVBPドメインにシナプス前終末形成誘導能があることを見出した、(2)別のイオノトロピックグルタミシ酸受容体サブユニットであるGluR1サブユニットのLIVBPドメインをδ2のLIVBPドメインに置換することにより作製したキメラ分子を発現させたHEK細胞と小脳神経細胞の混合培養により、このキメラ分子がシナプス形成誘導能とシナプス応答能を有することを明らかにした。(3)シナプス形成因子はこれまで様々に同定されている。neuroliginはneurexinと結合してシナプス形成を促すと考えられているが、δ2はそれとは異なりneurexinと結合しないことを明らかにした。これらの成果は、δ2がはたらくメカニズムを理解する上で重要な知見である。
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Research Products
(2 results)