2009 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成におけるグルタミン酸受容体デルタ2サブユニットの役割
Project/Area Number |
08J00658
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畔柳 智明 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グルタミン酸受容体δ2サブユニット / シナプス形成 / LIVBPドメイン |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体δ2サブユニット(δ2)は、イオン透過型グルタミン酸受容体ファミリーに属する膜タンパク質であり、小脳の平行線維-プルキンエ細胞間シナプス後膜に選択的に局在している。δ2欠損マウスでは、平行線維-プルキンエ細胞間シナプスが減少することが報告されていた。私は、昨年度までに、δ2を発現させたHEK細胞を、小脳神経細胞と混合培養することによって、HEK細胞に対して神経伝達を担うことのできるシナプス前終末を誘導できることを見出した。そして、δ2の細胞外ドメインのうち、最初の440残基にあたるロイシン/イソロイシン/バリン結合タンパク質(LIVBP)ドメインがシナプス前終末形成誘導に必要不可欠であることを示した。今年度はδ型受容体サブファミリーに特有なシナプス形成活性の分子基盤を理解するために、LIVBPドメインを構成するアミノ酸残基の中からシナプス形成活性を担うアミノ酸残基を同定することを試みた。δ2のLIVBPドメインの構造を予測することにより、約20アミノ酸から構成されるflapドメインと呼ばれる分子外へ露出するループドメインにシナプス形成活性を担っている可能性が示唆された。そこで、この領域に対してアラニンスキャニングを行った結果、321番目のアルギニン残基と323番目のトリプトファン残基がシナプス形成活性に必要であることが分かった。この成果は、δ2によるシナプス形成誘導の分子基盤を理解するうえで重要な知見である。
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Research Products
(2 results)