2009 Fiscal Year Annual Research Report
学校教育における開発教育の理念と政策に関する研究-日本とスウェーデンの国際比較-
Project/Area Number |
08J00662
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
武 寛子 Kobe University, 国際協力研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 学校教育 / 中学校 / 開発教育 / シティズンシップ教育 / 日本 / スウェーデン |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本とスウェーデンにおける開発教育の理念、方法論、政策の比較、および、日本とスウェーデンにおける開発教育の実践面の比較である。近年、開発教育をはじめとする社会の諸問題を扱う人権教育、平和教育、環境教育などの教育実践を包括的に扱う教育実践として、シティズンシップ教育がヨーロッパやアジア諸国において注目されている。本調査では、環境破壊などの社会問題の原因は、国境を越えたグローバルな課題であるという認識に立脚し、シティズンシップ教育の中でもローカル、ナショナル、グローバルなレベルで課題解決のために考察、行動できる能力の育成を目的としたグローバル・シティズンシップ教育が適していると考え、当教育へ分析対象を拡大して調査を実施した。調査対象は、中学校の教師である。本研究の目的は、教師は世代を越えた概念の伝達者であることから(デュルケーム1976)、シティズンシップ教育を通して「グローバルな社会の一員」としての認識を促すには、教師がいかにグローバル社会を認識し、グローバルな課題を伝達しているかを明らかにすることである。先行研究では、これまで教師の認識不足が指摘されてきた。しかし、両国の教師は、生徒が置かれている現状を加味し、生徒が良好な人間関係を構築することが必要と捉える手段として、グローバル・シティズンシップ教育に視座を向けていることが明らかにされた。広範囲なグローバル・シティズンシップ教育の理論に対し、教師の解釈は、教室内の生徒の状況を好転させることに焦点を定められているのである。また事例の教師は、グローバルな課題の学習を通じて生徒の「教室内での相互理解」と「自己理解」を涵養することが重要だと捉えているのである。これらの結果は,当該研究分野における理念及び教師の解釈に関する事例の蓄積に貢献するだろう。
|
Research Products
(5 results)