2010 Fiscal Year Annual Research Report
竹伸長過程でのセルロースミクロフィブリル構造解析とナノ複合材料への展開
Project/Area Number |
08J00679
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 陽子 (岡久 陽子) 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルロース / 竹材 / ナノファイバー / 熱膨張係数 / TG測定 / SEM観察 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に確立した竹細胞壁からセルロースミクロフィブリルを単離する技術を用いて、ダイナミックな成長過程における竹細胞壁からのセルロースミクロフィブリルの革離、その性能評価を試みた。抽出したセルロースミクロフィブリルはシートに成形後、電子顕微鏡による形態観察および熱膨張測定を行ったところ、成竹に比べて、伸長成長過程にある竹から製造したセルロースナノファイバーは熱膨張係数が低く、高性能であることが明らかになった。SEM観察の結果からも、成竹由来のセルロースナノファイバーには束状になっている箇所が確認された。リグニン量が0%の竹から製造したナノファイバーが最も低熱膨張であったが、次に低熱膨張であったものはリグニン量が12.3%の竹由来であった。リグニンが少ない材料ほど軽度の脱リグニン処理で済むため、高性能のセルロースナノファイバーが得られると考えられるが、今回の結果では一概にリグニン量が少ないほど低熱膨張という傾向は見られなかった。急激な成長過程で生じるリグニン堆積以外の細胞壁の構造変化が影響している可能性があり、今後は単離したセルロースミクロフィブリルの結晶化度などの評価を行い、最適な製造手法の確立を目指す。また前年度に行った、成熟・未成熟竹材を利用したセルロースミクロフィブリルの単離の際のリグニンの影響について検討については、新たにTGAの測定を行ったところ、未成熟竹材から単離したセルロースミクロフィブリルが成熟竹材よりも優れていることが明らかになった。脱リグニン処理と木化過程で生じる細胞壁構造の変化が、最終的に単離されるセルロースミクロフィブリルの性能に影響を与える可能性を強く示すものであり、これらの結果については論文の作成および投稿を行った。
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Research Products
(2 results)