2011 Fiscal Year Annual Research Report
竹伸長過程でのセルロースミクロフィブリル構造解析とナノ複合材料への展開
Project/Area Number |
08J00679
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 陽子 (岡久 陽子) 神戸大学, 大学院・人間発達環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 竹材 / セルロース / 細胞壁 / ナノファイバー / ナノコンポジット |
Research Abstract |
今年度は、前年度までに得られたセルロースミクロフィブリルの構造変化やリグニン堆積についての知見をもとに、ダイナミックな成長過程における竹細胞壁からのセルロースミクロフィブリルの単離を行い、シート状に加工した後、機械的特性(引張試験、熱膨張率測定)や結晶化度についての評価を行った。また実際にナノコンポジットを作製し、同様にその物理的特性の評価を行った。成竹に比べて、伸長成長過程にある竹から製造したセルロースナノファイバーは熱膨張係数が低く、SEM観察の結果からは、成竹由来のセルロースナノファイバーには束状になっている箇所が確認された。さらにTG測定結果からは、発筍まもなくのものが最も熱分解温度が高く、成竹由来ナノファイバーの分解温度が最も低かった。伸長成長前期および後期との間に大きな差は見られなかったが、成長が進むにつれて、熱に弱いセルロースナノファイバーが製造されていることが明らかになった。相対結晶化度は発筍まもなく由来のセルロースナノファイバーが最も高かったが、伸長成長前期から成竹までに大きな差は見られなかった。また、透明樹脂との複合化で得られたナノニンポジットについては、発筍まもなく由来ナノファイバーで補強したコンポジットの透過率が最も高かった。一方、可視光の範囲では、伸長中(前期・後期)の竹および成竹材由来ともに直線透過率が75%前後という高い透明性を示したのに対し、低波長側では成竹由来ナノコンポジットのみの透過率が急激に低下していた。透明ナノコンポジット作製の際の原料としては、木化が完了する前の植物細胞壁の方が、より高性能のセルロースナノファイバーが製造可能であり、製造工程も簡便になることから有利であると考えられる。
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Research Products
(4 results)