2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00687
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
喜多 祐介 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 炭素-シアノ結合切断 / 炭素-炭素結合形成 / ロジウム |
Research Abstract |
我々はロジウム触媒による炭素-シアノ結合のシリル化反応を既に報告している。このシリル化反応は、炭素-シアノ結合切断の機構としては珍しいシリルイソシアニドの脱離を経る反応である。シリル化反応において、ベンジルシアニドを用いるとエナミン型の生成物が得られた。この生成物はシリル化反応と同じ中間体から生成していると考えられる。したがって、私が見出した炭素-シアノ結合のシリル化反応はシリルイソシアニドの脱離を経て進行しているという間接的な証拠となる。 ニトリルの適当な位置にクロロフェニル基を導入した基質をシリル化反応の条件下で反応させると、炭素-シアノ結合切断を経て分子内アリール化が進行することを見出した。この反応において、シリル化反応が競争することが問題となるが、電子不足ホスフィンを添加することにより目的生成物を選択的に得られることが分かった。 これまでクロスカップリング反応では、鈴木-宮浦カップリングに代表されるように有機金属試薬を求核剤として用いることが多い。私が見出したロジウム触媒による炭素-シアノ結合切断反応を用いることで、ニトリルを有機金属試薬の代わりに用いることができる。ニトリルは、カルボン酸から容易に合成可能であり、様々な構造を持つニトリルを容易に調製可能である。また、ニトリルは通常のクロスカップリング反応の触媒条件で安定であるため、ハロゲンを持つニトリルを用いることで逐次的に炭素-炭素結合形成反応を行うことが可能である。
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Research Products
(3 results)