2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラット視床から大脳皮質運動関連領野への投射を単一ニューロンレベルで解析する
Project/Area Number |
08J00704
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉本 恵梨子 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラット / 運動性視床核 / 視床-大脳皮質投射 / 単一ニューロントレース / 大脳皮質運動関連領野 / 大脳基底核 / 小脳 / シンドビスウイルス |
Research Abstract |
本研究では運動制御の中継核である視床VA-VL複合核(ventral anterior-ventral rateral complex)から大脳皮質運動関連領野への軸索投射を単一ニユーロンレベルで解析することにより小脳と大脳基底核の機能を明らかにすることを目標とし、これまでに以下の二つの所見を得た。 1.ラット視床VA-VL複合核が、機能的に異なる二つの領域(IZとEZ)からなることを発見した。 すなわち、VA-VL核の吻側部は大脳基底核からの抑制性入力を多く受けることからinhibitory-afferent dominant zone(IZ)とし、一方、VA-VL核の尾側部は小脳からの興奮性入力を豊富に受けことからexcitatory-subcortical afferent dominant zone(EZ)とした。 2.VA-VL複合核のIZとEZニューロンはそれぞれ異なる軸索投射様式を示した。 方法としては当研究室で開発された膜移行性シグナル付きシンドビスウイルスベクターをラット視床VA-VL核に注入し、単一のニューロンを樹状突起のみならず軸索末端まで完全に可視化し、二次元再構築した。その結果、IZとEZニューロンで以下3つの違いが見られた。1)IZよりもEZニューロンの方が樹状突起の分岐の数が多かった。2)IZニューロンは線条体においてaxon bushを形成したものの、EZニューロンはaxon bushを形成しなかった。3)大脳皮質において、IZとEZのニューロンの間で軸索が分布する層に違いが見られた。IZニューロンの軸索はI層中心に分布したのに対して、EZニューロンの軸索はII/III層を中心に分布していた。しかし、IZ、EZどちらのニューロンの軸索も運動関連領野を中心として広い範囲に分布していたという点では共通していた。 以上の結果から、IZニューロンは大脳基底核からの情報を大脳皮質の錐体ニューロンのapical dendriteに出力し、一方、EZニューロンは小脳からの情報をbasal dendriteに出力することが示唆された。
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Research Products
(5 results)