2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋産多環状エーテル系天然物ガンビエロール及び関連化合物の合成研究
Project/Area Number |
08J00706
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
斎藤 竜男 Tokyo University of Science, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アスペルギラジンA / N,S-アセタール / マッサジン / hetero-Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
本年度は海産由来の真菌より単離された抗菌活性,抗腫瘍活性を有するトリコデルマミドBとほぼ同様の構造を持つ陸生真菌より単離されたアスペルギラジンAの左側部の構造の妥当性について研究を行った。アスペルギラジンAの左側部はN,S-アセタールを有する3環性骨格であり,当研究室では全合成の最終段階においてN,S-アセタールの構築を試みたが目的の化合物は得られなかった。そこで様々な類似骨格を合成し提示された化学構造と比較検討を行った。その結果,右側部においてN,S-アセタール部は平衡により環化体と非環化体の二種類の存在が確認された。さらに強力な抗真菌活性を示す海洋産オロイジンアルカロイド系天然物であるマッサジンの合成研究を行った。その構造は8連続不斉中心,5,6員環がトランス縮環,2つのグアニジン基が互いに向かい合うなど高度に官能基化されており,合成化学上非常に挑戦的な化合物である。報告者は森田-Baylis-Hillman反応によって導いたケトエステルを有するシクロペンテンを鍵化合物として,hetero-Diels-Alder反応でエーテル環を短工程で構築後,シアナートの[3,3]-転位反応により4置換炭素の立体選択的合成を達成した。その後グアニジン基を導入した後環化し,右側グアニジン環を除く基本骨格の構築を達成した。
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