2009 Fiscal Year Annual Research Report
力学・化学作用を利用した破壊した岩石の強度回復の促進・制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
08J00710
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奈良 禎太 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | き裂閉塞 / 圧力 / 透水係数 / 弾性波速度 / 玄武岩 / 砂岩 / 岩石組成 |
Research Abstract |
岩石の回復性を利用した地下開発を進める場合、地質・力学・環境条件を把握し、それらの影響を理解する必要がある。これにより、地下岩盤の利用対象を、堆積岩のような比較的弱い岩盤にも広げられる。岩石の回復は地下深部で起こる現象であり、圧力が影響する。また、岩石に含まれる鉱物種の影響の調査も重要である。そこで、破壊した岩石の回復性に及ぼす圧力の影響ならびに、岩石内部の組成の影響を調べた。特に、一定温度条件下において、様々な圧力下でP波速度・透水係数の経時変化を調べ、圧力の影響を明らかにした。試料として、砂岩2種類と玄武岩を用いた。 初めにインタクトな岩石試験片において弾性波速度および透水係数の圧力依存性を調べ、続いて岩石試験片に圧裂引張によって巨視き裂を導入し、最後に巨視き裂を導入した試験片を用いて、弾性波速度および透水係数の圧力依存性を調べた。また、き裂導入前後での弾性波速度と透水係数の圧力依存性の違いを比較した。また、X線回折分析と蛍光X線分析によって岩石の組成を調べた。 玄武岩では,巨視き裂を含む場合,インタクトな場合よりも透水係数がはるかに大きくなった.また,圧力の増大に伴って透水係数は減少した.砂岩では,巨視き裂が透水係数に及ぼす影響は認められなかった.また,いずれの岩石試料においても,圧力の増大に伴い弾性波速度が増大した.さらに,圧力の増大に伴って,インタクトな岩石と巨視き裂を含む岩石における弾性波速度の差が小さくなることが示された.したがって、玄武岩と砂岩では、開口したき裂や圧力によるき裂の閉塞が力学的特性に及ぼす影響は大きく異なり、それは岩石内部構造及び組成に影響されると結論付けられる。特に、砂岩のように粘土鉱物を多く含む場合、き裂の開口が及ぼす影響は小さぐ、さらに、き裂の閉塞による透水性の低下や弾性波速度の上昇を実現できる、強度回復に重要な要素となることが示された。
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Research Products
(17 results)