2009 Fiscal Year Annual Research Report
材料極表面高精度解析を目的としたイオンビーム複合分析手法の開発に関する研究
Project/Area Number |
08J00717
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加田 渉 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イオンビーム / 低エネルギーイオン / PIXE / 表面組成分析 / 非破壊分析 / DCPD |
Research Abstract |
材料表面における正確な組成分析を目的に、低エネルギーイオンビームプローブを応用した高精度分析システムの構築を行った。前年度までに構築した低エネルギープロトンを利用するPIXE分析系を利用した分析を行った。本研究では,従来,深さ方向の分解能の点で他分析法に劣るPIXE分析法について,低エネルギーイオンビームを用いた場合に,その分解能をどの程度向上させることが可能かを,特性X線発生/放出過程を含んだモデルにより,評価した。照射イオンのエネルギーやビームと試料,検出器と試料の成す角度を変化させた,独自の分析手法をこのモデルより構築し,実験に応用した。これらの結果により,本装置は材料表面数nm程度の分解能を持つ非破壊的な組成分析が可能であることが示された。 構築された分析システムの応用として,半導体素子であるSiCや,個人被曝線量計に用いられるRPLガラス線量計素子,及び,微粒子試料であるDCPD試料の表面近傍の元素分析を行った。RPLガラス線量計素子の分析では,試料表面近傍に存在する元素組成の偏在が,本手法により,明確に分析できた。本研究で構築している低エネルギーイオンビームを用いた分析システムは,低エネルギーのイオンが持つ特性から材料表面層に限定した解析を行うことが可能となっている。さらにDCPDの試料の分析試行では,適切な処理を施すことで,本手法が微粒子試料の表面組成分析に応用可能であることも示している。今後,本分析装置を各種の試料の分析に応用することが可能となれば,多様な分析対象の表面近傍組成を,非破壊的に解析することが可能となると考えられる。
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Research Products
(2 results)