2008 Fiscal Year Annual Research Report
人間の身体表現発達の理解へ向けたロボットの感覚運動統合による構成的表現獲得モデル
Project/Area Number |
08J00719
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福家 佐和 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 認知発達ロボティクス / 身体表象 / 感覚統合 / ヒューマノイドロボット |
Research Abstract |
近年の脳科学や認知科学の取り組みにより、人の脳内には複数の感覚を統合した自己の身体に関する表現があり,それは成長や疾患による身体構造の変化に応じて,柔軟に再学習されることが示されている.申請者は,構成的手法により,この身体表現の発達過程への理解を深める事を目的とする.これまでは感覚統合の学習に重点がおかれてきたが、触覚や体性感覚と統合される視覚的"位置"も,実は網膜情報や眼球,首の角度等の体性感覚等を自己組織化し,階層的に処理することで獲得されたものであると考えられる.そこで申請者は,本年度の目標としては,シミュレーション環境を用いて,異種感覚を統合することによる様々な座標系に基づく視空間表現および身体表現の概念を確立する手法を提案することと設定していた。実際の成果としては,まず第一歩として,"頭部中心座標系"の視空間表現,顔の視触覚表現の自律的獲得のためのモデルの提案を行った.人間の脳内の頭頂葉には,どこに視線を向けているかに関わらず,顔に接近する物体を網膜で捉えた時とその物体が将来衝突する触覚が刺激された時との両方に,反応するようなニューロンが発見されている.このニューロンは,空間に存在する物体と身体との関係を表していると考えられ,障害物回避にも役立つとされている,私は,環境中の物体の"同じ位置"を表すカメラ画像(網膜)の位置と眼球角度の複数の組み合わせを学習可能な手法を,自己組織化マップやヘブ学習等生体で発見された知見に基づいたアルゴリズムを用いて提案した.更に自分の手先をプローブとして用いて顔を繰り返し触り,接近する視覚刺激の軌道と触覚刺激の結合を獲得する手法を示した.結果,ロボットは眼球角度によらず衝突するであろう触覚センサの予測が可能となることを確認し,実際に工学だけでなく脳分野の学会にて発表を行い,高い評価を得た.
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Research Products
(3 results)