2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00730
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
豊福 雅典 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 脱窒 / 緑膿菌 / Pseudomonas quinolone signal / 微生物細胞間シグナル伝達 / 微生物細胞間シグナル化合物 / 微生物間コミュニケーション / 廃水処理 |
Research Abstract |
廃水処理は微生物に依存した処理工程で行われている。しかしながら、その微生物集団についてはブラックスボックスのままである。そこで、廃水処理を効率かつ安定に行うには、微生物がどのように廃水処理能力を調節しているのか解析する必要がある。本研究では廃水処理への応用を見据え、脱窒がどのような微生物細胞間シグナル化合物によって、どのように制御されているのかを研究した。その結果、Pseudomonas aeruginosaが生産する微生物細胞間シグナル化合物(PQS)が脱窒を抑制することが明らかとなった。その詳しい機構をさらに調べたところ、脱窒に関与している酵素群の活性が影響を受けていることが示された。また、PQSが脱窒を制御する機構から推測して、P.aeruginosa以外の細菌群の脱窒制御も行なうことが考えられた。そこで、様々な細菌に対してPQSの影響を調べた結果、脱窒反応の最初のステップである硝酸呼吸がPseudomonas putidaにおいても抑制されることが示された。さらに、PQSによる細菌の呼吸の制御は脱窒のみならず、酸素呼吸の制御にも関与していることが示されている。このように、本研究はシグナル化合物を介した呼吸の制御は同種間のみならず異種間でも行われていることを示唆し、細菌の呼吸制御に広く関与している可能性について提唱した。この知見は新たな微生物制御方法の基盤となり、現在、複合微生物系の中で目的の微生物の活性を制御することを目指すとともに、さらにシグナル化合物の探索を続けている。
|
Research Products
(5 results)