2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノシリコン弾道電子エミッタの大気圧・液体中動作と応用
Project/Area Number |
08J00733
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
太田 敢行 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノシリコン / 弾道電子源 / 還元効果 / 水溶液 / 水素生成 / 薄膜堆積 / ナノワイヤ作製 / 水溶液の性質制御 |
Research Abstract |
ナノシリコン弾道電子エミッタ(nc-Siエミッタ)が溶液中においても動作するという特異的な特長を生かしたデバイスの開発を念頭に研究を行った。得られた主な知見を下記に示す。 1.nc-Siエミッタは重水中でも動作し、還元力の強い電子を溶液中に供給する活性電極として機能するため、対向電極なしの単独動作によって重水素を酸素のような副産物を伴わずに生成する。また重水素生成と連動して、電子溶出の間に溶液のpH値がアルカリ側ヘシフトする。 2.溶液に注入された高エネルギーの電子は、水素イオン以外の陽イオンの直接還元に利用できる。 3.デバイス表面から光を照射することで、表面電極を透過した光のほとんどがナノ結晶層内で吸収される。また光によって励起された電子の一部は、数eVのエネルギーをもって環境中へ放出される。そのため、真空中への電子放出量・溶液中における還元電流が増加するため、水素生成量が上昇する。 4.nc-Siエミッタの直接還元効果を硫酸銅水溶液に適用すると、電子放出面に銅が堆積する。この現象は対向電極なしでも進行し、単独動作によって銅薄膜の形成が可能である。また、形成された薄膜は、高純度の多結晶状態である。 5.電子放出面をリソグラフィーによってパターニングすることで、その形状に応じた銅薄膜が並列的に一括して形成でき、銅のナノワイヤリングが可能である。 6.溶液中で陽イオンを形成する物質や金属など、産業上重要な材料の薄膜を原子レベルで形成できる可能性がある。 このように、多岐にわたって今後の発展性を示す現象を見出すことができた。
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Research Products
(8 results)