2009 Fiscal Year Annual Research Report
微生物が産生するメンブランベシクルの生産機構及びバイオフィルム中での機能の解明
Project/Area Number |
08J00741
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田代 陽介 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メンブランベシクル / バイオフィルム / Pseudomonas aeruginosa / Pseudomonas quinolone signal / Quorum sensing / インドール / zeta potential |
Research Abstract |
多くの病原性細菌は毒性を内包する膜小胞"Membrane vesicles(MV)"を細胞外に放出する。MVは宿主や異種微生物へ病原因子を運搬する機能を有する。本研究では田生産機構及びMVによる情報伝達機構の解明、さらにはMV生産制御技術を発見し、MVによる感染制御に繋がる知見を得た。 バイオフィルム等の微生物複合系では高濃度の細胞外情報伝達物質が存在しており、この情報伝達物質はバイオフィルム形成に関わる遺伝子の制御も行っている。緑膿菌は細胞外情報伝達物質の一つとしてPseudomonas quinolone signal(PQS)を分泌しており、これはMV生産制御因子としても働く。シグナル物質PQSが異種細菌にどのような影響を与えるかを検討したところ、PQSは異種のグラム陰性細菌のMV生産を促進させるだけでなく、グラム腸性細菌においてもMV生産を誘発させることが明らかになった。 また、MVはPQSの情報伝達に重要な役割を果たしているが、MVがどのように細胞と相互作用し情報伝達に寄与しているのか、詳細はあまり良くわかっていない。そこで、蛍光ラベルしたMVを用いて、MVと細胞の相互作用を解析した。その結果、MVが細胞に融合するためには表面の負電荷が重要であることが示された。 大腸菌を含む多くの細菌はインドール化合物を細胞外情報伝達物質として分泌する。申請者はインドール化合物を含む二環炭素化合物が緑膿菌のPQS生産及びMV生産を抑制することを発見し、緑膿菌の病原制御における新たな可能性を提示した。
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