2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット複合系における電子相関効果と干渉効果の理論的研究
Project/Area Number |
08J00742
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 康博 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 量子ドット / 超伝導 / 非平衡 / 近藤効果 / Andreev反射 |
Research Abstract |
平成20年度は超伝導・常伝導リードに繋がれた量子ドット系の輸送特性や電子状態に関する理論的な研究を行った。この系では電子相関と超電導相関の絡み合いが輸送特性に顕著に反映されるため、近年注目を集めている。特に本研究では、リード間にバイアス電圧を印加した非平衡定常状態において、量子ドット内のCoulomb相互作用が超電導リードの近接効果に与える影響について解析を行った。模型としてAnderson不純物にs波超伝導体と常伝導体を繋いだ系を考え、量子ドットにおけるCoulomb相互作用についてはKeldysh-Green関数による摂動計算を用いて取り扱うか。まず平均場近似を用いた解析から、非平衡状態になると磁性解の存在する領域が拡大することを示した。この結果は、印加されたバイアス電圧により量子ドット内の超電導相関が弱められ、これと競合していた電子相関が表に現われてきたことを意味する。以上の平均場の結果を踏まえ、非平衡状態では電子相関がより重要になるとの考えのもと、Coulomb相互作用を二次まで取り込み上記の系について解析を行った。その結果、競合関係にある電子相関と超伝導相関がCoulomb相互作用が大きい有限バイアス下では互いに協力し微分コンダクタンスを増大させることが分かった。またこの場合、量子ドット内の局所状態密度に、常伝導リードのFermi面に生じる近藤共鳴状態に加えて、この近藤共鳴状態を利用しAndreev反射して生じた新たな共鳴状態が現れる。これらの研究結果から、近藤効果が非平衡Andreev反射を助けることで、有限バイアス電圧下の微分ゴングタクシスを顕著に増加させる可能性かおることを明らかにした。
|
Research Products
(4 results)