2008 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的連星系の合体時の重力波放出とジェット形成の理論的解明
Project/Area Number |
08J00765
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高見 健太郎 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 宇宙物理 / 理論天文学 / 宇宙ジェット / ブラックホール / 数値相対論 / Einstein方程式 / 重力波 / 相対論的連星 |
Research Abstract |
本年度は、相対論的連星系の合体時の重力波放出とジェット形成を理論的に解明することを目的として、以下の異なる二方面からアプローチを行った。 1.ジェット形成に関して、様々な効果が入った複雑な状況を考えるのではなく、簡単化したモデルを用いて、時空自身の担う本質的役割を明らかにすることをめざした。そのために、ブラックホールを包む球殻からの一様等方輻射(粒子)ジェットモデルを構築し、回転するブラックホールが作る時空(Kerr時空)が、その輻射にどのように影響を与えるかを調べた。その結果、莫大な数の輻射粒子は極方向に動く粒子よりも赤道方向に動く粒子の方がわずかに多く、無限遠方での粒子分布は球状分布からずれて、全体としては赤道方向にコリメーションされることを世界で初めて発見した。これは、予想されていたものとは正反対の結果である。また、そのずれの大きさは、最大でも数パーセント程度と非常に小さい。さらに、Kerr時空の弱い重力場極限を考え、これらの結果が、主にKerrブラックホールのquadrupoleモーメントによって引き起こされていることを明らかにした。 これに関して、一編の査読付き論文を成果として得た。 2.Einstein方程式を数値的に解いて、相対論的連星系の合体時の重力波放出を取り扱うことができる計算手法・技法の習得及びさらなる改良・開発を目指した。そのために、ドイツのAlbert Einstein Instituteの研究グループと共同研究を開始した。その第一段階として、相対論的連星系の構成要素である中性子星が高速回転している場合の動径方向振動調べるために、軸対称のもとでEinstein方程式を解くことを始めた。
|
Research Products
(3 results)