2010 Fiscal Year Annual Research Report
T2K長基線ニュートリノ振動実験における電子ニュートリノ出現モードの探索
Project/Area Number |
08J00788
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 一 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | T2K / ニュートリノ振動 |
Research Abstract |
2009年より開始されている東海-神岡間長基線ニュートリノ振動実験(以下T2K実験)において、ミューオンニュートリノが電子ニュートリノへと振動する事象を発見し、未だに上限値しか知られていないニュートリノ混合角θ13を探索するのが本研究の目的である。T2K実験は2009年にビーム調整運転を終え、2010年1月より物理データ収集のための本格的な長期運転を開始した。2010年6月末に夏季運転停止期間に入るまでの半年間に渡り安定した運転が続けられ、3.3x10^19 POT(標的入射陽子数)相当のデータを蓄積した。ビームの安全な運転に際しては、本研究において開発されたミューオンモニターによってビーム方向が常時lmrad以内で監視されていることが不可欠である。ミューオンモニターはこのデータ収集期間中99.9%以上の時間正常に動作し、安定したデータ収集に貢献した。その後、T2K実験コラボレーションは収集されたデータを用いて最初のニュートリノ振動解析を行った。この解析作業の中で当研究の代表者は生成されたニュートリノビームフラックスの予測、およびその系統誤差の評価を行うグループに属し、解析作業および他のサブグループとの調整・情報交換に主導的な役割を果たした。収集されたデータの量が不足しているため、この最初の解析結果は他実験より与えられる現在のθ13の上限値を更新するものではなかったが、我々は2011年3月の地震によって運転が停止するまでの間に4倍にあたる1.4x10^20 POT相当のデータを収集し、今後解析をアップデートすることにより世界最高の感度を達成できる見込みである。
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Research Products
(2 results)