Research Abstract |
ファジィ推論は様々な分野で用いられているが,更なる応用や適切なファジィ推論の使い分けのためにはその性質を知ることが重要となる.このことから本研究ではファジィ推論の性質の解明の一環として,ファジィ推論の等価性と単調性に関する研究を行った. まず等価性に関して,従来のファジィ推論と単一入力型ファジィ推論が等価となる条件を示した.また,単一入力型ファジィ推論による従来のファジィ推論の下限と上限が存在することを明らかにし,それらが存在するための条件を示した. 次に,単調性に関して,単一入力型ファジィ推論の規則が単調性を持ったとしても,必ずしもその推論値が単調性を持つとは限らないことを指摘し,単調性を持つための十分条件をも示した. SIRMs推論法は排他的論理和を実現できないという欠点を抱えていることから,本研究ではSIRMs推論法とニューラルネットワークを融合した,ニューラルネットワーク型SIRMs推論法(NN-SIRMs推論法)を提案した.さらに,SIRMs推論法にカーネルトリックを適用した,カーネルトリック型SIRMs推論法(K-SIRMs推論法)を提案した.両推論法とも,排他的論理和を実現でき,良好な結果が得られた.また,NN-SIRMs推論法を医療診断システムへ応用した結果,精度の良い結果が得られた.同様に,K-SIRMs推論法も医療診断システムへ応用したが,従来のファジィ推論と比べると良い結果が得られなかった.これは,K-SIRMs推論法の学習能力が高く,用いた医療診断データが多くの矛盾を含んでいたことから,矛盾をも大きく学習しためであると考えられる.このことから,ラフ集合を用いてデータが含む矛盾を取り除くことにより,医療データにも精度良く対応する適応可能性を示した.
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