2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症を中心とした疾患硬組織に対して新たな骨評価法を用いた病態解明・治療支援
Project/Area Number |
08J00799
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮部 さやか Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 骨粗鬆症 / 微小領域X線回折法 / 生体アパタイト(BAp) / 骨質 / 配向性 |
Research Abstract |
骨粗鬆症は高齢化社会を迎えた現代において社会問題となっている。その治療の一つとして薬物療法が考えられるが、現在、骨粗鬆症の薬物療法には様々なカテゴリーの薬剤が存在し、薬剤選択の幅が広がっている。骨粗鬆症治療の上で最も重要である骨折予防の観点から骨強度を考える場合、骨量のみへの注目では不十分であり、各薬剤の骨質への影響の検討が必要とされている。我々のグループでは骨質評価の一つの候補として、生体アパタイト(BAp)配向性を指標とした結晶学的アプローチを提案している。そこで本年度の研究では、近年行われたMORE試験などにてその椎体骨折予防効果が注目されている選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)のラロキシフェンや、ビスフォスフォネート系薬剤のアレンドロネートの骨質への影響に注目し、結晶学的アプローチを中心に解析を行い、各薬剤の骨量・骨質への影響を検討した。その結果、薬剤投与群はともに骨粗鬆症による骨量減少を抑制しており、骨質パラメータとして注目した配向性は正常値に比べ、卵巣摘出によって上昇、低Ca群の場合低下を示し、ともに骨密度減少を抑制した薬剤投与群は、RLX群では正常値と同程度の値であったのに対し、ALN群では低下を示し、その投与薬剤によって配向性は変化することが明らかとなった。こうした骨量、骨質変化を示した本モデルに対して、圧縮試験機により力学試験を行い、ヤング率と骨密度、配向性の重回帰分析を行ったところ、ヤング率に対しては配向性の寄与割合が高いという結果が明らかとなった。現在はさらに、実際に臨床での評価方法の確立、配向性への応力寄与を探るため、Human椎骨での研究を行っており、そちらの結果に関しては来年度報告したいと考えている。
|
Research Products
(3 results)