2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症を中心とした骨疾患硬組織に対して新たな骨質評価法を用いた病態解明・治療支援
Project/Area Number |
08J00799
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮部 さやか Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 微小領域X線回折法 / 生体アパタイト(BAp) / 骨質 / 配向性 |
Research Abstract |
骨は力学環境の変化に対し、モデリング、リモデリングを介してその外形および内部構造を変化させ、力学機能適応を発揮する。こうした骨は、網目状骨梁構造の海綿骨とその外側に位置する皮質骨とから構成されており、中でも海綿骨は皮質骨に比べ比表面積が大きいことから、骨粗鬆症などの代謝系骨疾患において影響が現れ易い部位とされている。しかしながら、海綿骨部位でのこのような変化は、骨梁密度の相対的変化としての理解にとどまっており、個々の骨梁レベルでの詳細な解析はほとんどなされていない。そこで本研究では、ヒト椎体海綿骨梁に対し、骨組織の力学機能と密接に関連した骨質指標である生体アパタイト(BAp)の配向性を基準とし、年齢、性別や骨粗鬆症罹患の有無に起因する骨梁密度や骨梁構造の変化の結果として生じる応力環境の変化に注目し、力学的適合性との関連を明らかにすることを目的とした。骨粗鬆症から正常までの変化をもったn=9のヒト椎体海綿骨梁において、椎体中央部におけるμCT骨微細構造解析の結果、骨梁密度はDEXA骨密度と正相関を示した。骨粗鬆化の進行にともない、頭尾軸に垂直な二次骨梁の優先的な減少が認められ、荷重方向である頭尾軸に伸展する一次骨梁の選択的残存が認められた。これは、骨吸収の亢進した状況下においても、荷重負荷に対して力学的に有利な状態を維持しようとするような一種の構造的機能適応といえる。透過型光学系を有する微小領域X線回折法を用いたBApのc軸配向性分布解析に加え、応力シミュレーションを行った結果、海綿骨では骨体積率の減少に伴った負荷応力の増加が認められ、そうした応力増加に対応し、海綿骨は個々の骨梁中の配向性を高めることで、骨材質特性の異方性を構築し、応力環境に対して力学機能適応していることが示唆された。
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Research Products
(7 results)