2010 Fiscal Year Annual Research Report
サドル型歪みを有する金属ポルフィリン錯体とヘテロポリ酸の複合体形成とその機能開発
Project/Area Number |
08J00804
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横山 温和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 曲面型ポルフィリン錯体 / ヘテロポリ酸 / 超分子構造 / 分子間相互作用 / 光誘起電子移動 / ルテニウム置換ケギン型ヘテロポリ酸 / 触媒的酸化反応 |
Research Abstract |
本研究では非平面型金属ポルフィリン錯体の中心金属イオンの高いルイス酸性に着目し、サイズ・形状・電荷が制御可能なLewis塩基であるKeggin型POMをテンプレートとしたポルフィリン-ヘテロポリ酸複合集積体を新たに設計・合成し、その機能開発を試みた。本年度の研究課題として以下の三つについて取り組んだ。一つ月は曲面型Mo(V)ポルフィリンとKeggin型POMとの間の水素結合を介した超分子構造の形成について精査し、超分子構造の結晶構造を決定した。さらに溶液中においてこれらMo(V)-ポルフィリン錯体とPOMの超分子形成の過程の熱力学的パラメーターを決定し、それらがエントロピー支配で進行することが明らかにした。二つ目は複合体内でのポルフィリン錯体からPOMへの光誘起電子移動(PET)について研究を行った。反磁性であるスズ(IV)を中心金属として有するポルフィリン錯体を合成し、POMとの間で配位結合を介した複合錯体を形成させた。その結果、可視光照射下に於いて複合錯体内でポルフィリン部位からPOM部位へのPETが進行し、POMが可視光照射下で電子受容体として機能することを明らかにした。三つ目はルテニウム置換Keggin型POMを用いた複合体を触媒とする有機分子の酸化反応について研究を行った。複合体のPOM部位ヘルテニウム置換Keggin型POMを導入し、ベンジルアルコール類の触媒的酸化反応を行った。この新規複合体はベンジルアルコールの酸化反応において顕著な置換基効果を示し、基質と活性種との会合体形成を経由して反応が進行し、ベンジル位の水素引き抜き反応が進行する事を明らかにした。 上記の研究事項はこれまでに取り組まれた事のない全く新しい研究課題であり、ポルフィリン錯体とPOMとの複合機能開発に当たり新しい知見を与えるものである。
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Research Products
(6 results)